バリ島では1年に1回、一日中外出をせず、火と電気を使わない「静寂の日」と呼ばれる『ニュピ』と言うバリヒンドゥー教にとって新年を迎える為の最も大切な日があります。
ニュピ当日はバリ島のングラ・ライ国際空港も終日閉鎖されますので、飛行機の離発着はありません。勿論、フェリーなどが着く港も閉鎖されます。
2020年は3月25日がニュピ当日となります。
ニュピの前日、2020年3月24日には「オゴオゴ」と呼ばれる山車が街中や主要幹線道路を練り歩く祭事が行われます。
このオゴオゴが練り歩く為、地域毎に一般道や幹線道路の一部が閉鎖されますので、この日にバリ島内で移動などをされる場合には十分な下調べが必要です。
ニュピは一日だけですが、ニュピを迎える為の準備は随分と前から始められます。
まずオゴオゴと呼ばれる山車の制作に関しては、2か月~1か月半位前から始まります。各村の青年団が主体となり手作りで作業をします。
また、ニュピを迎えるにあたり、各寺院ではご神体などを海辺に運んでお清めを行います。このため、この時期のビーチはお供えを持ち正装をした人々でとても混雑します。また、一般的にビーチに行くのは徒歩での長い行列となるため、ビーチ周辺の道路は酷い渋滞になることが多いですので、ニュピ前とは言え、ビーチへ行く場合と移動途中にビーチがある場合は、いつもよりも多めに移動時間を取った方が無難です。
ニュピ当日は日の出から翌日の日の出までの間、外出は不可。火と電気の使用も不可。大声を出したりすることも禁じられています。
ここ2-3年はバリ島で観られる衛星放送のテレビもニュピの一日は放送を遮断していますのでテレビ番組も観る事が出来ません。
ヒンドゥー教の人々は、外出をせずに家の中で瞑想をしたり断食をしたりして神聖なニュピの一日を過ごします。
ニュピ当日にバリ島にご滞在になる場合は、大型ホテルではホテル敷地内のプールやスパなどの利用は可能、食事も通常通りに出来ますので心配は要りません。しかし、ビーチに面しているホテルの場合、ビーチに出てはいけません。
また、日暮れ以降、ホテル内の照明は最小限に抑えられますので、ホテル敷地内であってもかなり暗く感じたり、夕食の時間帯がいつもより早く終わる場合が多いです。夕食が早く終わってしまうので、夜ちょっとお腹が空いた時の為に、お菓子などは買い置きをしておくと良いですね。
ちょっと不便そうに思えるニュピですが、ニュピの日だからこそ、の楽しみもあります。
ニュピだからこそ、の楽しみとして一番に挙げられるのは、夜空の星がこぼれてきそうなほど沢山見られる事です。天の川も簡単に見つける事が出来ます。星が多すぎて星座を見つけるのに一苦労する程の星の数なんです。電気を使わないだけでこれだけの暗さが戻るのかと驚きにも似た感動があります。
外国人観光客にとってニュピはちょっと不便ですが、ニュピでしか見られないオゴオゴのパレードを見たり、騒音がほとんど聞こえない昼と夜の時間を体験したりすることはとても興味深い事だと思います。
但し、先ほども述べましたように、ニュピ前は予想できない渋滞に嵌ったりすることがありますので、いつもよりも時間に余裕を持ってお過ごし頂きたいと思います。
バリ島リピーターの方には、ニュピ当日を挟んでバリ島に滞在するツアーをお勧め致します。是非ご自身でバリヒンドゥー教の新年にあたる「ニュピ」を実際にご体験してみてくださいね。