皆さん、こんにちは。 バリニー王の嫁、キタです。
さて、バリ島の観光地としてはあまり注目を集めない先住民の村「トゥガナン」。
この小さな村は、世界的にも珍しい縦横絣「グリンシン」を織る村として有名です。
織物に興味がある、生地が大好き、というの方々には非常に興味深い村なんですよ。
日本の絣も、匠の技と布として出来上がるまでに長い時間が掛かりますが、
主に縦糸か横糸のどちらか一方だけを染めて柄を作り出しています。
トゥガナンのグリンシンはと言うと、縦糸と横糸の両方を染めて柄を出すという、
染めの段階で極めて緻密で高度な技術が必要で、
尚且つ織り上がるまでには長い歳月を必要とするものもある布です。
インドネシアには世界文化遺産としてユネスコに認められた
「バティック(ロウケツ染め)」が有名ですが、
このトゥガナン村の縦横絣のグリンシンも、
世界文化遺産に登録してもいいくらいの貴重なものだと思っています。
今回は、2回に分けてトゥガナン村とグリンシンの両方をご紹介したいと思いますが、
まずは「その1」として、縦横絣の貴重な布「グリンシン」をご紹介致します。
トゥガナン村はバリ島東部のカランガッサム県、
チャンディダサから北上したところにあります。
トゥガナン村は、バリ先住民のバリ・アガが住む村として、
他の観光地と同様に一般客に公開されています。
トゥガナン村の入り口に立てられた建物。
観光バスのドライバーさん達の休憩所も兼ねているようです。
森に囲まれた村の入り口手前には、大型バスでも停められる広い駐車場があり、
周りにはお土産物屋さんが並んでいます。
「ようこそ・グリンシンの里トゥガナンへ」と買いてある石碑。
この村への入場料は寄付金なので、いくら、とうはっきりした金額は表示されていませんが、
寄付をすると入場台帳に名前と金額を書き込むシステムになっていて、
大人一人につき20,000ルピアが平均の寄付金額でした。
トゥガナン村は、長屋のような造りの家屋が村の両側に並んでいます。
建物の中に入ると、薄暗い中はお土産物やグリンシンを売っているお店になっていました。
品の良いおばあさんが床に座って布を織っています。とっても姿勢が良いのに驚かされます。
このお歳で老眼鏡を使わずにはさみで糸端の処理をしていました。。。
この小さいサイズの布1枚で、日本円にして約6千円位だそうです。
糸を染める染料は基本的に草木染なので、派手過ぎない美しい赤です。
約6千円位から6万円位まで、色は赤が高価で、多色使いになるほど高価になるそうです。
布の幅や長さでも値段が変わります。 正に伝統工芸品といって良い布です。
トゥガナン村の儀式の正装に使われる布も。独得の柄が魅力的。
細かい柄の布。 左と中央の2枚は約6万円台、右端の布は4万円台位。
布の幅は約60センチ、長さは140~150センチです。
お店の片隅に、染めの最中の糸が無造作に置かれていました。
糸をくくりつけてある箇所は、色が入らないようにしている部分です。
勿論、糸をくくりつける作業は手作業。根気の要る仕事です。
日本でも実演販売をした経験があるというこのお店のオーナー。
写真入りで縦横絣「グリンシン」の日本語の説明書きが壁に飾ってありました。
草木染ならではの渋い赤、茶、藍の色が、落ち着いた雰囲気の縦横絣「グリンシン」の布。
次回の「その2」では、この布が製作されている村の様子をご紹介します。
お楽しみに!!!