皆さん、こんにちは。 バリニー王の嫁、キタです。
さてさて。皆さんがバリ島で見た事のある牛は、どんな牛でしょうか??
バリ島で見掛ける牛のほとんどは茶色で、
雄牛の角もさほど大きくない種類の牛だと思います。
その昔、バリ島での農業が現在のように機械を使い始める以前は、
田畑を耕す時に水牛は無くてはならない働き手として、人々を助けて来ました。
しかし、近代化が進み、バリ島でも農業機械が導入されてからは、
水牛が田畑を耕す姿を見掛けることはほとんどありません。
バリ島西部、ジュンブラナ県の県都であるヌガラでは、
その昔、田畑の働き手として活躍していた水牛を、今はレースの為だけに大切に育てています。
今回はバリ島の中で唯一、水牛のレースが行なわれている、
ヌガラのデロッド・ブラワに行って来ましたのでご紹介したいと思います。
ヌガラまでの所要時間は、南部地区から車で約3時間。
途中タバナンを通り抜けて、国道の一本道をひたすら西へ走ります。
この国道は片道一車線の狭い道路であるにも関わらず、
ジャワ島等、他島からの物資をバリ島に運ぶ為のメインロードになっている為、
頻繁に大型トラックが行き交う危険な道として、事故が多い事でも知られています。
無理な追い越しも日常茶飯事。運転手は一時も気が抜けません。
11月1日の日曜日、年内では最後から2番目のレースが行われると聞き、
朝5時に起きて5時半にスミニャックを出発。一路ヌガラを目指しました。
早朝のバリはとても爽やかで、車のエアコンも必要ありません。
ヌガラの街の手前で左折。道路標識にも「観光地・デロッド・ブラワ」と書かれています。
程なく、旗を揚げた牛の行列に遭遇。
水牛レースの見物客として、この場所に乗用車を乗り入れる料金、10,000ルピアを払って進みます。
初めて見る数え切れないほどの水牛は、どの牛もそれぞれ綺麗に飾り立てられ、
レースと言うよりも水牛のビューティーコンテストみたい。。。
水牛と人とでごった返すメインロードを会場に向って徒歩で進みます。
会場を示す矢印。会場と言っても、中はだだっ広い野原。
向って右側にはレース用のトラックが作られていて、司会者用の小さなやぐらが見えます。
手間右側に見えているのは、観戦に訪れた人達が座る為の、簡素な作りのひな壇です。
会場の向って左側には、水牛を運んでくる為のトラックの駐車場。
小型トラックには2匹、大型トラックには4匹の水牛を乗せる事が出来るんですって。
小型も大型も、トラックの荷台には水牛が居心地良く移動する為の藁やすのこが敷かれていました。
水牛レースの司会者が居るやぐら。ここからレースに出場する水牛(2頭1組)の名前を呼びます。
「プットゥリ・シダカリヤ」「マルタティラール」「プットゥラ・サリ」「デワ・デウィ」「ママミーヤ」
出場する水牛には、それぞれにオーナーの想いが込められた名前が付けられていました。
このやぐらの前が水牛レースのスタートポイントかと思ったのですが、
この場所からスタートするのは、本戦前のウォーミングアップの為のレースだけ。
ウォーミングアップで本番と同じ2キロの距離を走った後、ゴール地点で待機します。
そして、本番ではゴールだった場所がスタート地点になり、
やぐらのあった場所がゴール地点になるそうです。
わざわざここまで戻って来なくて良いように、と、考えられているんですね。
1970年代までは、2組が横に並んで同時にスタートするレースを行なっていたそうですが、
レース中に事故に遭うことが多かった為、1980年代からはルールを変えて、
スタート地点とゴール地点の両方に、前後に10メートルの間隔を空けて線を引き、
同時にスタートして先にゴール地点の線に着いた方が勝ち、というルールになったそうです。
しかし、今でも後ろから前を走っているジョッキーの乗る車に水牛がぶつかったり、
水牛自身がレース途中で転んでしまったり等の事故も時々起きているそうです。
2組が前後に10メートル離れて縦に並び、前のジョッキーが水牛のお尻を叩くのと同時にスタート。
ジョッキーが手にしているのは、トゲのついた棍棒。
これで水牛のお尻をしたたかに叩いて走らせます。
大きな体の水牛が走り出す際に見せる、力強い瞬発力には驚かされました。
スタート地点からゴール地点へ移動してみます。
人垣を掻き分けてみると、土埃を上げながらジョッキーを乗せた水牛が走り込んでくる姿が。
次々と、それぞれジョッキーを乗せた台車を引いた水牛がゴールに駆け込んできます。
ウォーミングアップと言っても手抜きは一切無し。
ジョッキーは、足腰の丈夫な若い人の方が良いそうですが、
ベテランの中年ジョッキーも勿論活躍しています。
基本的に水牛のオーナーが「これは!」と思うジョッキーに声を掛けて乗って貰うのだそうです、
こちらは本番レースのスタート直後。真ん中の緑と赤のシャツがジョッキーさん。
観戦者の数も多くなってきて、レースの写真を撮るのが難しくなっていました。。。
これがジョッキーの使う棍棒。コレでお尻を叩かれたら、水牛でも走り出したくなりますよね。。。
実は、パラダイスバリツアーズのベテランガイドさんの中にも、水牛のオーナーが居るんです。
その内に1人、プトゥさんに会う事が出来たので、気になっていた水牛のケガについて聞いてみました。
プトゥさん曰く、「レースのケガは直ぐに手当てするから大丈夫。
2日後には注射も打つから、感染するようなことも無いし、直ぐに治るよ」との事。
「打たれたケガから血が流れた方が早く治る。血が流れないケガは厄介なんだよ」との事。
レース用の水牛が労働に使われる事は無く、体調管理に気を配りながら飼育しているそうで、
エサは草やバナナの木の幹。ビタミン注射までするんですって。。。驚きです。
ここまでは水牛レースそのものに焦点を当ててご紹介してみました。
次回は、この水牛レースの豆知識と、美しく飾られた水牛達のご紹介、
そして、会場に集まる地元の人々に焦点を当ててご紹介してみたいと思います。
どうぞお楽しみに。。。