バリ王の数多くあるオプショナルツアーでも必ず1位、2位を争う上位に入る、とても人気の高いオプショナルツアー「ウルワツ寺院とケチャファイヤーダンス鑑賞」。
ウルワツ寺院は断崖絶壁の上に建つ寺院で、その寺院の存在がバリ島を守っている、と信じられている4大寺院の内のひとつです。
この由緒正しき寺院、残念ながら一般の人や観光客は寺院の中までは入れませんが(寺院の中まで入れるのはバリヒンズー教徒がお祈りする時だけです)、青い海が打ち寄せる断崖絶壁の上に建つ寺院を眺めるだけでなく、迫力のあるケチャファイヤーダンスを至近距離で鑑賞するにはこのウルワツが最高です。
また、このツアーは午後比較的遅い時間から出掛けるので、観光+夕食として便利にご利用頂けます。
それではまず、ウルワツ寺院に入る所からご紹介しましょう。
バリ島の寺院に入る時は、どの寺院でも必ずサロン(腰布)とスレンダン(帯)を着用して下さい。
また、ケガをして流血している人や、生理中の女性は寺院には入れませんのでご注意下さい。
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ウルワツ寺院の入場料金の中には、サロンとスレンダンのレンタル料金が含まれています。
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参道へ入る手前の入り口脇には注意書きが貼り出されています。
インドネシア語で「サングラス、ピアス、髪飾りの類はサルに盗まれないように外してきちんと仕舞って下さい。」と書かれていますので、皆さん、各自注意して下さいね。
寺院へと向う参道は歩行者のみで、一般車両の立ち入りは禁止です。
午後の遅い時間に行ったお陰で、参道には涼しげな木陰が出来ていました。
バリ島の強い日差しに晒されなくて有り難いです。
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参道を入って直ぐの左側に、大きな石を発見。お供え物も置いてありました。
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途中、公衆トイレもありました。観光地の公衆トイレは有料のところが多いのですが、
こちらは「無料トイレ」と書かれていました。
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ウルワツ寺院を眺める為に、寺院とは反対方向にある岬の展望台に向って歩く事にします。
この岬の先端から見るウルワツ寺院は、一枚の絵のように美しいです。
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岬の先端を目指して歩いていくと、行く手にサルが出現。欧米人の男性は楽しそうに写真を撮っていましたが、この時点で既に17:15頃。私は時間的な都合でここから先は断念しました。
(ケチャダンスの上演は18時からです)
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岬の突端までは行けませんでしたが、寺院方面へ引き返す途中で写真を撮ってみました。
青い海と岸壁に打ち付ける白い波。そして、断崖絶壁の上に建つ小さな寺院。。。
まるで一枚の絵のようではありませんか?
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寺院までは、この絶壁の端に作られている遊歩道に沿って歩いて行きます。
歩道に沿って歩いていくと、寺院の前に建っているこの門の真横まで来る事が出来ました。
この門の先に寺院があるのですが、一般人では中に入る事が出来ません。。。残念。
門の真ん中は、神様とお坊さん専用の通り道なので、お祈りに来ている人達は、真ん中ではなく、左右の開いている所から出入りしているようでした。
長い期間潮風に晒されたからなのか、建てられた当初は四角だったものの鋭角さが無くなっているように感じる門は、どことなく優しげでした。
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こちらのご家族は今お祈りを終えたばかりの様子。石の門の向って左から出てきたところをパチリ。
基本的にバリヒンズー教徒は大人も子供の正装で身に付ける衣装は同じです。勿論、子供でも着やすいように工夫されているものも多いですが、小さい頃から「お寺にお祈りに行く時はきちんと正装をして行く」という習慣が、生活の中でしっかりと身に付いていくのですね。
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ウルワツ寺院の正面に建つ石碑は、まだ真新しい感じがしました。
黒い石に刻まれた金色の文字が上品です。
さて、この時で夕方17:30位になっていました。
ウルワツ寺院散策はこのくらいにして、ケチャダンスの会場へと急ぎます。
ケチャファイヤーダンスの会場は、寺院から徒歩で約5分位の場所。
狭い歩道を歩いて会場まで行くので、前を歩いている人の後ろを歩くしかなく、
自分の速さでは歩けません。
ケチャックファイヤーダンスの開演時間は18:00からなのですが、逆円錐形の雛壇に造られた席は全て早い者勝ちなので、良い席を確保する為には、開演時間よりも早めに会場に行く事をお勧めします。
私がついた頃には、まだまばらだった観客の姿も、18時近くなるとご覧の通り、満席に近い状態に。
席を見付けられない人には、係りの男性(中央の黒い服を着た人)に声を掛けると席を探してくれるようです。
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開演時間直前に、お坊さんが会場に入って来てお祈りを捧げ始めました。
お祈りを捧げている間も、次々に到着するお客様達。
大声を張り上げながら横を通り過ぎる人がいても、一心にお祈りを捧げるお坊さんの姿に敬服。
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お坊さんのお祈りに続き、若い女性が英語とカタコトの日本語でケチャックファイヤーダンスの開演を継げました。
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開演のアナウンスと共に、演者の上半身裸の男性演者達が、後方にある割れ門から会場内に入って来ます。両手をゆるく上に挙げ、「チャッチャッッチャ」とそれぞれに声を出しながら。。。
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「チャッチャッッチャ」の声が次第に増えていきます。人数が増えるに従って、単音だった声が多重音階に変化していきます。
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最終的にガイドブックなどで良く見掛ける円陣のフォーメーションが出来上がりました。
これからこの男性演者が演じるのは、時に伴奏音楽であり、時に物語の舞台背景です。
男性ならではの太い声でガムランの音を表現する時、その言葉であって言葉で無い、独特な音の連続は、観る者の記憶に深く刻み込まれます。
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全員で円陣になった後で、先ほどと同じお坊さんがお祈りの為に円陣の中に入ります。
今日の上演の安全を祈り、聖水が演者たち全員に行き渡るように振り掛けられます。
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さて、ここから先は、このケチャファイヤーダンスを鑑賞する際に貰える、日本語版の物語を抜粋しながら、演じられている画像と合わせてご紹介していきます。
尚、このケチャファイヤーダンスは、物語の解釈に多少内容が異なる場合があるようですが、
今回はウルワツで配布されている物語を記載します。予めご了承下さい。
それでは、はじまり、はじまり。。。
ストーリー:森に迷い込んだラマ王子とシータ妃に忍び寄る邪悪な影
ヒンズー神話による最初の国、「アヨディア王国」のラマ王子とその妃であるシータ、そしてラマ王子の弟のラクサマナは、邪悪な陰謀によって国から追放され、長い間森を彷徨う生活を強いられていた。
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そんなある時、悪の魔王ラワナはこの3人を発見し、美しいシータに魅了されてしまう。なんとかシータ妃を自分のものにする為、ラマ王とラクスマナからシータを引き離そうと企んだ。
ラワナは魔王の化身である「黄金の鹿」を使い、魔法に掛けられたシータは、ラマ王子に「黄金の鹿を捕らえて欲しい」と懇願する。ラマはシータが魔法に掛っているとは知らず、愛する妻の頼みを叶える為、弟のラクサマナにシータの安全を託して黄金の鹿を追って森へ向った。
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ラマが森へ出掛けて暫く経ったある日、シータはラマの助けを求める叫び声を聞いたような気がした。
シータはラクサマナに見に行くように言いつけるが、兄のラマからシータの安全を託されていたラクサマナはシータを独り残して行く事んび責任を感じた。シータは自分の言いつけを拒否するラクスマナに対して「兄を見殺しにして自分と結婚したいのだろう」と勘ぐる。
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ラクサマナはシータの言葉に怒り、自分の潔白を証明する為に兄を見に行く事を決意する。
そして、ついにシータは森の中に独り取り残されてしまうのだった。
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そして、独り取り残されたシータの前に姿を現す魔王ラワナ。
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ラワナは直接シータの気を引こうとするが失敗し、次は魔法で自分自身を老人バガワンの姿に変えシータの前に再び現れる。
老人が魔王ラワの化身とは知らずに、気の毒に思って油断してしまったシータは、ついに捕らわれてしまう。
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シータの逃げ惑う声に聖鳥ガルーダが空から現れ彼女を助けようとするが、それも叶わず、
魔王ラワはシータを自分のアンレか宮殿に連れ去る事に成功するのだった。
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その頃、ラマはシータが魔王ラワに捕らわれた事を聞き、
白猿のハヌマンにシータを見付け出す様に命じる。
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一方、シータをアンレカ宮殿に連れ帰った魔王ラワナは、
自分の姪であるトゥリジャタをシータの側に付けて身の回りの世話をさせていた。
囚われの身となったことを嘆き悲しむシータを、トゥリジャタが辛抱強く慰め元気付ける、
という毎日が続く・・・。
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そんな2人の姿をハノマンは遂に見付け出した。
ハノマンは隠れて様子を伺っていたが、突然シータの前に姿を現す。シータはこの白猿も魔王ラワナの化身か? と疑うが、ハノマンはラマから預かった指輪を差し出し、その指輪が間違いなくラマの物であることが分かると、シータも自分の髪飾りをハノマンに預け、自分の無事をラマに伝えるように、
とハノマンに命じる。
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ハノマンはアレンカ宮殿を去る前に、宮殿の中で大暴れして壊して回った。
しかし、運悪く魔王ラワの手下に捕えられてしまう。
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捕えられたハヌマンは、火の中に投げ込まれて焼き殺されそうになる。
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ハノマンは燃え盛る火中で目が覚め、何とか無事に逃げ出すことに成功するのだった。
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ハヌマンが燃え盛る火の中から無事に逃げ出す事に成功するところまでが、
ウルワツのケチャファイヤーダンスで上演される物語です。
上演が終わると、踊り手達が舞台に集まってご挨拶をします。
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希望者には一緒に記念写真に応じてくれますよ。
あれだけの熱演にも関わらず、お化粧が全く崩れていないのがとても不思議でした。
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ケチャダンスの合間に撮った、夕暮れのウルワツ寺院。
残念ながらこの日は雲が多くて綺麗なサンセットは見られませんでしたが、夕暮れ時に佇むウルワツ寺院の姿は、凛としていながらどこかはかなげで、とても美しいものでした。
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以上、「ウルワツ寺院とケチャファイヤーダンス」をご紹介しましたが、如何でしたでしょうか。
逆円錐形の会場は、演者と観客を直線で分けている普通のステージで観るより時よりも迫力を感じて、とても良かったです。
今回は、出来るだけ実際の情景を想像し易いようにまとめてみたつもりですが、「チャッチャッチャ」「チャッチャッッチャ、ギール」の音だけは、実際に聞いて頂かないと臨場感は味わえませんので、
是非、皆さんも実際にオプショナルツアーにご参加なさってご鑑賞下さいね。
ウルワツ寺院とケチャファイヤーダンスのオプショナルはこちら